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照思会のお知らせ

2010/12/20
会員通信:短歌紀行「80日間地球一周の旅」

短歌紀行

80日間地球一周の旅

 

T・Y(42期生)

出航

平成22年8月2日午後4時、オセアニック号4万屯は晴海の港をゆっくりと離れた。

七色の紙テープが見送る人と見送られる人を繋ぎ、やがて風に舞う光景はこれからの船旅への期待感を否応無しに高めてくれる。

良いものだ!凄くいい!

『行ってらっしゃ~い』の大歓声に大きく手を振って『行ってきま~す』と応えている人。ただ静かに見送る人。涙ぐんで立ち尽くしている人。様々な千人の旅人が・・・。

 

 私が、今ここにいます。

 

アジアからアフリカへそしてヨーロッパ、最後にラテンアメリカへ17カ国、19箇所の寄港地はどこも夢と期待を叶えてくれると信じて出航しました。

 

すべての国で短歌を100首作ろうと勇んで立派な作品帳(先輩の役員会員様からの愛の鞭です。)を持参しましたが、残念な事に学ぶ事は少々で遊ぶ事ばっかりが沢山有り過ぎて結果30首ほどの愚作しか出来ませんでした。

まことに恥ずかしい限りでは有りますが其の内の10首ほど掲載させて頂きます。

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「乗船して日の浅い頃」

 たまさかに 唯たまさかに 船に乗り 集える人の 私は迷ひ児

 

「オマーンにて」

 夕暮れの アザーン聞こえし 街角に エキゾチックな まなざし深く

 

「マルセイユ・エクスアンプロバンス」

 菩提樹の 木漏れ日涼し アトリエは 時を飛び越え セザンヌに逢ふ

 

「イルカ」

 鮮やかな ジブラルタルの朝の波 海豚(いるか)の鰭(ひれ)は 銀の耀き

 

「夕暮れのデッキにて」

 寄り添ひて 語らふ姿 夕やみに とけて美(うるは)し 母と娘(こ)の時刻(とき)

 

「日本国憲法第九条の碑」

 ラスパルマスに 九条の碑を 宝とし 平和を願う 気高き島人

 

「舗木道」

 ぽくぽくと 響く足音 遠ざかる 坂の舗(ほ)木(ぼく)道(どう) 蹄もゆるく

 

「水平線を眺めワインで一杯」

 乾杯! 何の記念で 無いけれど 触れ合う心 楽しいランチ

 

「ゆりかご」

 船旅は 母の腕に 抱かれて ゆらりゆらりと 夢の心地す

 

「思い出」

 さよならの 思いは個々の 胸のうち 旅の続きは また夢の中


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帰港

平成22年10月20日午前6時、ベイブリッジを見上げながらオセアニック号は無事、横浜港に着岸。

 船上生活も楽しく有意義。反戦。平和。命の大切さを沢山学べ80日間は本当に長くて短い良い時間でした。

「もう一度乗りますか?」と聞かれたら「もちろん機会があれば是非に!」と答えさせて頂きます。

皆様もぜひ一度「地球一周の船旅」にご参加なさっては如何ですか。人生観とまでは言いませんが何かが変わる!そんな経験が出来る旅行でした。

 

私にとってその何かが変わる、それは短歌を詠む事でした。

なにげない日常の中で大切な言葉を探す。美しい表現であらわす。三十一文字に心を磨く。普段はとても難しい事でした。

船旅に宿題を頂いたおかげとそれぞれの国の食事と作法。摩訶不思議なお祈りと空間の厳粛さ。様々な聴きなれない言葉。日本では見たことの無いような360度、紺碧の空と静寂と荒れ狂う海を目の当たりにする事で、目が、耳が、心が、身体の六感を伝わって言葉が生まれる瞬間に少し触れさせて頂けました。

 

「明浄学院高等学校」の嶋茂代先生の「楽しく短歌を詠む会」に参加させて頂いていた事に尽きると実感いたしました。

これからも、末永く「楽しく短歌を詠む会に」参加させて頂きたいと思っています。

 

拙い短歌紀行文をお読みいただいて感謝致します。

平成22年12月20日

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