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照思会のお知らせ

2010/05/18
「嶋茂代先生の歌集・随筆集」のご紹介

照思会の会員活動「楽しく短歌を詠む会」でいつも楽しくご指導頂いています 嶋茂代先生 の歌集・随筆集「迂回路」をご紹介させて頂きます。

本書には、短歌二百七十六種、随筆十編収められています。
その内より、二首、先生に選んでいただきました短歌と随筆をご披露いたします。


寒燈のとどく光の中にあり 白梅寂としのびて香る

 「繊月が西の空にたよりなげに傾いている。暗い寒の夜の白梅ほど凛々しいものはない。香りも又他に類のない強い訴えをもっている。街燈の光がようやくそこまで届き、白梅は偽らぬ純粋さで、闇に挑んでいる。白晳の若武者は微動だにせず、宙を見つめている。」


ひとり越ゆべき径を想ひて山かげに さはやかに咲く桐を見上ぐる

 「私は桐の花を見つけると、ふいに胸騒ぎがして、なかなかおさまらない。

紫の花なら藤も目をひくが、藤ではなく、桐の花に託したい思いが湧く・・・・・・。人生は所詮ひとりの片道、一枚の皮膚にすっぽりと包まれた孤独をひきずって、

とぼとぼと旅を続ける。今までもひとり、未来もひとり、ひたひたと越ゆるさびしい山路に、せめてこの麗しい花がふさわしい。」


この歌は人が孤独に向き合うこころ模様を小さく折りたたみ三十一文字の内に凝縮して詠われていると思います。山道にふいに現れた紫の花の美しさに気持ちが添う瞬間、それは決して窮屈では無く美しく縮んだ言葉が花の姿と共に景色の中に広がって行く様子がゆるやかに心に伝わってきます。


懐かしくて麗しい言葉に溢れた作品はまさに「言霊」そのものであります。


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